東海道を歩く旅
1978年の夏、どういうきっかけだったか記憶がないが、
旧東海道を日本橋から京都まで歩いていくことにした。
大学3年生の夏休み、
自分のやりたいことがはっきりしないもやもやした中、
なにか達成感を求めていた時だったのだと思う。
たまたま、旧東海道の地図付きの解説本があったのだ。
そう、幕末に坂本龍馬が何度も行き来した道だ。
日本橋を出発したのは夏真っ最中の8月3日朝6時頃、
リュックサックに寝袋と水、それに簡単な着替え。
そして、お金は3万円ほど。
朝6時から毎時4キロで歩けば、
休みを入れても一日に40キロメートル歩き、
京都まで13日ほどで着く計算だった。
日本橋から多摩川を渡り、戸塚の山を越えて
最初の宿泊地は、藤沢の畑の中に寝袋を敷いて寝た。
その後、箱根の山の中、静岡の海岸・・・と
毎日だと1日40キロ歩くのは結構しんどい。
真夏の太陽にやられて、
食欲が無くなってしまう。
夕方まで40キロ歩けずに夜になってしまうこともあった。
旧東海道が今、国道1号線になっているところもあり
そんなときは、すぐ横を大型トラックが大きな音を響かせて走り抜けていく。
もともとお金が無く、すべて野宿だから
朝起きると身体が痛い。
どんどん体力が消耗していった。
そんなとき、どこかの町で踏み切り待ちをしていたら、
どこからか子供が二人やってきて、
自分のなめていたアイスキャンディーを差し出し、
「これ食べて」と渡してくれた。
また、(当然)見知らぬおばちゃんが
うちに来て食事しなと誘ってくれて、
台所でご飯をごちそうになった。
郵便局のおじさんに
話しかけられ感心されたりと、
いろいろな人とのふれあいがある旅だった。
この旅は、ぼくの旅の原点。
ベンチャーの原点だったように思う。
好きなことをしようと思ったら、
その分、人のしない苦労をすることになる。
でも、一生懸命やれば
助けの手を伸ばしてくれる人は必ずいる。
今でもそんな、理屈の無い自信がある。



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